三笠宮崇仁親王殿下、同妃百合子殿下におかれましては、(遠路はるばる)岩国までお成りいただき、誠にありがとうございます。両殿下のご臨席を仰ぎ、本日錦帯橋の完成式典をこのように盛大に挙行することができますことは、私どもにとりましてこの上ない光栄であります。岩国市民を代表いたしまして、心から御礼申し上げます。
1673年に、岩国藩3代藩主吉川広嘉公により錦帯橋が創建されました。以来現代に至るまで、吉川家には岩国の発展に大きなご貢献をいただいております。その第16代御当主の吉川重幹様にもご出席いただいております。歴代の吉川家のご恩に改めて深く感謝申し上げたいと思います。
そして、大変お忙しい中、河村文部科学大臣、二井山口県知事を初め多くのご来賓、会場にも大勢の皆様にお越しいただきまして、大変ありがとうございます。
もう一方、会場にご紹介したい方がいらっしゃいます。児玉泰幸さんです。広嘉公のもとで棟梁として錦帯橋の建設に携わった児玉九郎右衛門から数えて第12代目に当たられます。今日こうして皆さんにご披露できることを大変うれしく思います。
ご覧下さい。3年間にわたる工事を経て平成の錦帯橋が見事に完成し、我々の前にその勇姿を現しました。300年以上にわたり、その時々の先人達のたゆみない創意と努力により架け替えが行われてきています。その熱い想いを受け継ぎ、次の世代に確実に引き継いでいかなければという気持ちで、市民挙げてこの大事業に取り組みました。用材の調達や建築に直接間接に携わった人達はもちろん、率先して寄附や募金活動をする人、ボランティアのガイド、人知れず清掃をする人、市内外を問わず実に様々な人々の温かいご協力がありました。感謝の思いで一杯でありますし、改めて、この地に住む人々の心意気を誇りに思います。
古来、深い渓谷などに橋をかける場合に、両側から徐々に桁を伸ばしていく「刎ね橋」という形式が用いられましたが、その形式とアーチ橋を組み合わせたほとんど例を見ない独創的な橋であり、すでにこの類の橋は世界中探してもほとんど現存しておらず、まさに中世の建造物の傑作といっても過言ではありません。
また、この橋の特筆すべきは、その構造や技術の優秀さだけではありません。その優雅な美しさにあります。人間の創造したものが、自然と対峙するのではなく、見事に周囲の景観と調和し一幅の絵を見るようではありませんか。もはや、五連のアーチ無しにこの地の景観を語ることはできません。
今、装いを新たにし、現代の匠の技により新しい息吹きを吹き込まれた錦帯橋は、時を超える「未来へのかけはし」として、空間を越える「世界へのかけはし」として、ひととひととをつなぐ「友情のかけはし」として、大きく力強く羽ばたいて行きます。
この歴史に残る記念すべきときに当たり、錦帯橋の将来の方向について、私の想い、夢かもしれませんが、三点申し上げてみたいと思います。
一つは、今回、歴史上初めて綿密な構造試験が行われ、60トンの荷重をかけても約3センチしか沈まないことなどその技術の優秀さが立証されました。こうした匠の技を詳細に研究するとともに、錦帯橋に関する多くの資料を保存し活用することにより、その魅力をさらに高めていきます。
二つ目には、次回以降の架け替えをもっと短期間に、例えば20〜30年毎に一部の橋について実施することを検討したい。そのことが技術の伝承と岩国に「架け替え」有りと、それ自体を一大イベントとして定着させることにつながると思います。
そして、最後に、この素晴らしい宝物を、人類共通の財産として、「世界遺産」へ登録することを目指したい。
いかがでしょうか。ご賛同いただけますでしょうか。
本日は誠にありがとうございました。錦帯橋の取り持つご縁でこうして皆様とご一緒できたことを幸せに思います。どうか、今後とも岩国の行く末を温かく見守っていただきますよう心からお願い申し上げまして、私のご挨拶とします。