日本生活文化賞スピーチ <平成15年3月26日> 今回は思いがけずすばらしい賞をいただき、大変光栄に思っています。架け替え事業に携わる関係者や市民にとって大きな励みになるでしょう。 錦帯橋は、吉川家第3代藩主広嘉公の決して流れない橋をという強い思いにより、中国杭州の西湖にかかる同名の錦帯橋をモデルに、1673年に創建されました。以来300年以上にわたって、今回のような全面架け替えは珍しいのですが、一橋また一橋と架け替えが繰り返され、今回で合計103回目となります。その間、決して同じ姿を保っているのではありません。その時々の技術や知恵を集めて、工夫や改良が行われています。いわば、錦帯橋という生命体が、時々の人の力を借りながら、過去から現代へ、そして未来へと、より強くより美しくその姿を変えていく、自らを進化させているのかもしれません。我々は歴史の一こまを担う小さな存在かもしれませんが、この大きな流れを確実に次の世代に伝えていく重い責任がある。架け替えに携わってみて、こうした思いを実感しています。 市民も思いは一緒であり、今まちを挙げて、総出で架け替え事業が行われています。 技術の伝承のために、地元の職人や大工さん達が工事一切を担当しています。 未来を担うこども達にも参加してもらうため、橋板に名前の書き込みを行ってもらいました。 また、何か役に立ちたいといって、募金活動をしたり、橋の上でガイドを買って出たり、多くのボランティアが参加しています。 昨年真中の第3橋、今年は第4橋と第5橋が完成し、先日16日には渡り初めが行われました。来年の今頃にはすべて完成する予定です。巧みの技を間近で見ることができるよう迂回路を設けてありますので、是非一度見に来てください。 下を流れる清流錦川、背景には、お城山の原生林の緑、自然と調和した、どこにもないすばらしい舞台ができ上がりつつあります。ここから地方の情報と文化を発信していきます。岩国には、ファッションと関係の深い帝人、東洋紡、旭化成もあります。錦帯橋をファッションやデザインの発表の舞台として提供しますので、是非活用して下さい。 内外とも暗いニュースが多いときですが、自然やそこに育まれる生命を大切にし、そこから生まれる生活・文化を大切にするまちでありたい。