施政方針及び予算について(概要) <平成13年2月27日3月市議会> 来年度の施政方針について、まず申し上げなければならないのは、やはり財政状況です。不況が長期化する中で、岩国市においても税収が大きく落ち込み、一方で国の経済対策にも対応して近年積極的な財政運営をしてきており、長期債務である市の借金は年々増加し、平成12年度末現在で一般会計と特別会計を合わせて約670億円に達し、市民一人当たり約60万円の借金を背負っている計算になります。加えて、平成11年度の一般会計と特別会計を合わせた連結決算での収支は約45億円の赤字となっており、その額は年々増加しております。いずれも大変厳しい数字であり、さらに、土地開発公社の抱える未利用の土地や藤河土地区画整理組合の未処分の土地など、表面には現れていない負の遺産もあります。こうした状況を考えれば、岩国市の財政は危機的な状況にあります。 そこで、このたび「財政健全化計画」を策定しました。まず第一に、長期債務については、「公債費負担適正化計画」に基づき、新たに制度が設けられる臨時財政対策債を除き、市債を平成13年度は約40億円、平成14年度以降は約30億円以内に抑えるなどの措置を実施し、平成18年度には、起債制限比率を現在の14.0%を超える状態から13.0%以下に引き下げる予定であります。毎年の収支の赤字体質については、特に赤字の大きい市場事業と下水道事業の二つの特別会計につき、計画的に一般会計からの繰出しを行うことにより、10年間で現在の赤字を約半額程度にする予定です。もちろん、懸案になっている旧岩国総合庁舎の跡地等の処分も早急に進めたいと考えております。 さらに、行政のスリム化を進めることは私が繰り返し強調してきたことであり徹底して実施する必要があります。現在「行政改革実施計画」の全面的な見直し作業をしており、先日発足した「岩国円卓会議」など民間の各分野の専門家のご意見もお伺いしながら、まもなく最終的な取りまとめを行い、4月以降実施していきます。 今後はこうした計画に基づき、財政に厳しい枠をはめて、その中で政策の優先順位を考慮しメリハリをつけて計画的に行政を進めていくつもりです。そのための大きな指針になるのが、平成13年度からスタートする岩国の今後10年間のまちづくりの総合計画である「ゆめわくいわくに21」です。この中で、まちの将来像として「美しい自然と心を育み、一人ひとりが輝く個性あふれるまち」を掲げ、これを実現するための重点課題を五つのゆめわくプラン「安心のまち」、「快適なまち」、「活力のまち」、「感動のまち」、「魅力のまち」にまとめています。さらに、岩国広域9市町村の今後10年間の地域づくりの基本計画である「岩国広域スクラム21」が先般策定され、同じく4月以降実施に移されることになっています。従来と違って、この計画では、広域の連携、協力を具体的に進めていくために、福祉、環境、道路などの分野で15の「スクラムプロジェクト」を掲げており、一つ一つ確実に実施していきたいと思います。そして、この中では、現在国を挙げて大きな課題になっている合併問題も当然取り上げ、メリット、デメリットなどにつき調査、研究しながら住民の皆様と一緒に考えていきたいと思います。 最後に申し上げたいのは、こうした難局に立ち向かい、新たな時代を切り拓くためには、まず職員が共通の目標と理念を持って、一丸となって行政を推進していく必要があります。その共通の指針として「市民と職員、五つのかけ橋」を定め、本年1月1日から実施しています。第一に「公平」、市民全体の観点から「公平」な判断を!、第二に「サービス」、市民の立場で親身な「サービス」を!、第三に「効率」、経営感覚で、費用対効果を考え、「効率」的な行政を!、第四に「参画」、情報を積極的に提供し、市政への市民の「参画」を!、第五に「行動」、職員自ら先頭に立ち、率先「行動」を!。 今後、これらの項目が確実に実施されるよう具体的な方策を講じたいと考えています。 繰り返しになりますが、今は経済状況も含めて最悪の状態だと思います。ここを切り抜け、将来の世代に負担を残さないためにも、市民の皆様にも大きな痛みをともに分かち合っていただかなければなりません。そして、我々行政がその先頭に立ち「行動」するために給与水準の思い切った見直しを行うことにしています。具体的には、課長補佐級以下の職員の12ヶ月間定期昇給の停止を実施し、これにより平年ベースで約1億1800万円の節減となります。また、私を含めて助役、収入役等の特別職の給与を、過去5年間据え置いてきたところですが、さらに、今後2年間、給料とボーナスをそれぞれ10%カットすることにしています。これにより、年間約880万円の人件費の節減になります。 次に、平成13年度予算について御説明します。 このような背景の下で、平成13年度の予算編成に当っては、行政サービスの低下をきたさないことを念頭におき、財政健全化計画を基本として、投資・政策的経費の縮減、起債依存による財政構造からの脱却を図るための起債借入額の抑制、赤字特別会計等への対応、行政改革の推進による経常経費の削減などを行っています。 具体的には、投資・政策的経費は前年度に比べ約35億円、率にして27.5%の減少となっており、起債借入額は、前年度に比べ7億80万円、率にして16.5%の減少となっています。 特別会計の赤字解消対策については、一般会計から市場事業会計へ約5億5000万円の繰出しを行い、平成13年度において約1億1000万円の赤字の削減を図ることとしており、公共下水道事業会計については、13億円の繰出しを行い約1億円の赤字の削減を図ることとしています。 また、藤河土地区画整理事業については、平成13年度末に換地処分を完了し、平成14年度に組合を解散後、保留地管理法人及び清算法人に引き継ぐ予定としていますが、公園の管理者負担金として本市が2か年にわたり合計約4億円を負担することとしています。 さらに、将来の退職手当の大幅な増加に備えて退職手当基金への積立金や、庁舎整備に向けての庁舎整備基金積立金の増額及び公債費負担適正化計画に沿った減債基金積立金を計上しています。 次に、経常経費の削減につきましては、行政自身のスリム化を進めるため、本年4月から機構改革を行い、現行の8部から1部削減し7部制にするとともに、原則として担当部長制及び部次長制を廃止することとしており、併せて特に内部管理的な経費については、厳しく抑制したところです。 具体的には、市長等の特別職の給与の削減を行うと共に、職員給与費の適正化を図るため、平成11年度には部長級、平成12年度に部次長級及び課長級の12ヶ月間の定期昇給の停止を行いましたが、引き続き課長補佐級以下の職員の12ヶ月間定期昇給の停止を実施することとしています。また、食糧費、交際費、旅費及び消耗品費などの特に内部管理的な経費については、本年度においても引き続き削減を行いました。 以上のような基本方針により編成した結果、平成13年度の当初予算の規模は、一般会計において 433億1700円となり、前年度に比べ4.7%の減少となっています。 特別会計については、12会計の合計で 354億900万円となり、前年度に比べ 3.8%の増加となっています。 平成13年度は、岩国市の今後10年間のまちづくりの基本計画である「ゆめわくいわくに21」が始まる年であります。目標とする岩国市の姿に掲げた「美しい自然と心を育み一人ひとりが輝く個性あふれるまち岩国」の実現を目指し、重点プロジェクトを五つの「ゆめわくプラン」にまとめ、このプランに沿って計画的に政策を推進していきます。 第一は「安心のまちゆめわくプラン」です。誰もが健康でいきいきと、安心して暮らせるまちづくりを目指します。 保健・医療・福祉につきましては、平成12年度から実施されている介護保険制度への対応を始めとし、老人福祉計画、障害者計画、児童育成計画等を指針として、市民の皆様が健康で生きがいをもち安心して生活できるよう、きめ細かい健康・福祉行政を推進していきたいと考えています。 高齢者対策につきましては、在宅のねたきり老人の方を対象とした訪問理美容サービス事業者への支援や、現在介護保険の認定を受けている方で、短期入所利用のケアプランの変更等に対応するための住宅改修・短期入所振替利用援助事業を実施するほか、高齢者の生きがい対策を推進するための事業の充実を図っていきます。また、ねたきり老人等介護見舞金の支給事業については、市の単独事業として当面継続することとしています。 障害者対策については、障害者の方の社会参加を促進するための各種の支援事業の内、要約筆記奉仕員の派遣事業を新たに開始し、身体障害者及び知的障害者の各種の問題、課題に対応するための相談員を設置することとしています。 次に、児童・子育て支援については、懸案となっていました児童センター業務のソフト事業として、児童の遊び場の提供や子育てサークルの組織化・援助、情報誌の発行及び子育て相談などを中心とした児童環境づくり推進事業を新たに開始します。その他、民間保育所が延長保育や一時保育を実施するための事業を拡充し、保護者の方々の子育て支援を充実していきます。 そのほか、家庭教育を支援するための地域で育てる幼児教育総合推進事業や子育て学習事業等を実施し、少子化が進展していく中で、児童の健全な育成へ対応していきたいと考えています。 また、市民の皆様の健康管理やレクリェーションの施設として、高照寺山グリーンパークの整備及び持ケ峠地区に遊歩道を整備することとしています。 第二は「快適なまちゆめわくプラン」です。豊かで美しい自然環境の保全や活用、環境負荷の少ない循環型社会を目指し、快適なまちをつくります。 まず、最初に申し上げたいのは、岩国市においてもISO14000シリーズの取得を目指すことにしたということです。近年地球規模の環境保全意識が高まりつつある中で、民間企業や自治体においてもISOを取得するところが増加していますが、本市においても、行政サービス等による環境負荷やリスクの低減、発生予防を図る活動等の継続的な改善に努めるため、国際標準化機構が制定した国際規格であるISO14001を取得することとしました。また、二鹿や南岩国などにおいて、昆虫や植物などの生物が共生することができる場所としてビオトープを整備するとともに、昨年度に引き続きメダカ・蛍・トンボなどの生息調査を行い、自然環境の保全、回復に努めていきます。 公共下水道事業の一文字処理区内は、装束地区の供用開始を平成14年4月に予定しており、これに向け引き続き管きょ整備及び一文字終末処理場内のポンプ場建設を実施していきます。 尾津処理区内につきましては、尾津浄化センターの用地造成、水処理施設等の実施設計及び汚水幹線管きょの整備に取り組んでいきます。 生活環境の整備につきましては、日の出町の最終処分場整備や、ダイオキシン対策としての第一工場排ガス高度処理施設整備事業及び基地沖合移設に伴い、し尿処理施設を移転するための基本設計を行います。さらに、ゴミの焼却灰を企業がセメント原料として無害化、資源化を図る「山口県エコタウン事業」が平成14年度から始まる予定であり、これに参加するため、第一工場から発生する焼却灰の貯留設備の整備を行うこととしています。 また、本年度においても引き続き、容器リサイクル法の施行に対応したペットボトルの回収、生ごみを肥料化するための処理機に対する助成など、ごみ再資源化・減量化を推進します。 そのほか、松山団地の第3期の事業として19戸を建設するための実施設計を行う他、通津北開作街区公園及び今津第六街区公園を整備し、良好な生活環境の確保を図っていきます。 第三は「活力のまちゆめわくプラン」です。都市基盤、産業基盤の強化、商店街の活性化等活力あるまちづくりを行います。 まず、山口県東部地域の発展のため岩国基地民間空港早期再開を実現しなければなりません。平成12年5月に2市15町村において期成同盟会を設立し、国への要望活動を実施してきたところですが、本年度はこれの実現に向けさらに一歩進めて、県と共同で民間空港早期再開のための調査検討委員会を設置し、今後国等との協議に必要となる空港整備基本計画の策定や空港需要予測調査を実施することとしています。 次に、道路整備については、岩国南道路は既に一部供用開始されており、現在、愛宕山トンネルの工事に着手し、平成14年3月の貫通を目指しています。岩国大竹道路につきましては、平成12年9月に都市計画決定がなされ、今後事業着手に向け大きく前進するものと考えています。 また、これらを補完する幹線道路として、県施行の平田バイパス、牛野谷線、門前線及び岩国大竹線等の整備の促進を図るとともに、本市の事業である昭和町藤生線(車町)についても、現在の認可区域の 245mを平成16年度までに整備するよう努力していきます。 さらに、将来に向けた道路網の整備として、岩国柳井間地域高規格道路等の整備に向けて引き続き国・県に要望していきたいと考えています。 なお、4月から北河内、阿品方面のJRバスの廃止、減便が予定されており、市営バスの運行に必要な経費を計上しています。 商店街活性化対策につきましては、いわゆる中心市街地活性化法に基づき「商店街・商業集積等基本構想」を策定し、平成12年度は部内で事業計画等を検討してきましたが、本年度は、市民の皆様にも参画していただき、具体的な事業計画の策定を行うとともに、TMOが商業タウンマネージメント構想に基づき事業計画策定のための基礎調査、研究を行うための支援を行います。また、本年度新たに、空洞化が進む商店街の活性化を図るため、空き店舗を活用した商店街等活性化先進事業を行うとともに、引き続きバイいわくにキャンペーンを推進していきます。 さらに、高齢者介護を要する家族を抱えながら働く方の仕事と介護との両立を支援するため、介護ファミリーサポートセンターの開設を行うこととしています。 農林水産業の振興につきましては、農業用排水路や農道等を整備するための中山間地域総合整備事業、林業地域総合整備事業など農林業の基盤整備を図ることとしています。 次に、経済社会の急速な情報化、いわゆるIT化に対応するため、情報通信技術(IT)講習推進事業として、平成12年度にパソコン等の機器の整備を行ってきましたが、本年度は、公民館、図書館、小・中学校等を利用して、約5、600人の市民の方々がパソコンやインターネットが使える基礎技能を習得していただくための講習会を開催します。なお、この中で視覚障害者の方々に対する講習会も実施する予定になっています。また、市政の情報をより一層わかりやすく提供するため、アイ・キャンを通じた市政番組の制作、放映経費や庁内LANを整備するための情報環境整備推進事業を計上しています。 第四は「感動のまちゆめわくプラン」です。「感動とよろこび」を与える心の教育、生涯学習の推進、男女共同参画社会の実現などを通じて、感動のまちをつくります。 教育・文化の振興につきましては、教育関係職員の研修、教育相談及び適応指導教室等の充実を図るための教育センター(仮称)を建設するとともに、東小学校及び東中学校の防音機能の改良、各小・中学校のPCB使用の照明器具の取替経費などの義務教育施設の整備及び岩国運動公園の野球場の建設へ向けての概略設計及び用地取得費を計上しています。ソフト面では、平成14年度からの新たな学習指導要領へ向けての岩国市学校教育基本目標「感動とよろこび」推進事業や、多人数学級に対応するための楽しい学ひ舎づくり推進事業、幼稚園・小学校等の連携による合同研修や実践研究を行うための地域で育てる幼児教育総合推進事業、また、小学生を対象とした外国人教師による英語教育の拡大やスクールカウンセラーの充実などを行います。 また、平成12年度に引き続き、大変好評であった子どもたちに科学に親しんでもらうための「科学の祭典」及び市政を身近に感じてもらうための「女性模擬市議会」、「子ども模擬市議会」を開催することとしています。 その他、本年がボランテイア国際年に当たり、また市民活動支援センターが開設1周年を迎えることから、記念事業を開催することとしています。 そして、7月にはいよいよ山口きらら博が開幕します。8月22日の「岩国市の日」のイベントに参加するための経費を計上しています。 第五は「魅力のまちゆめわくプラン」です。歴史、文化の保全、活用、新たな文化の創造等により、かおり高い魅力のまちをつくります。 平成13年度から錦帯橋の架替工事が始まります。錦帯橋架替ポスターの作成やPRビデオの制作、インターネットによる錦帯橋のライブ中継の実施、写真コンテストの開催など、世紀のイベントである架替を積極的にPRしていきます。 また、本年4月に7年毎に行われる岩国行波の神舞が現地公開されることに伴う支援経費を計上するとともに、徴古館の収蔵資料の管理をデータベース化するためのシステム整備事業や江戸時代の建造物と推定される平佐家住宅の調査など、文化財の保護、保存を図ることとしています。また、昨年度に引き続き「アートフェスタ岩国」を開催します。 最後に、私の政治の大きなテーマの一つであり、先程申し上げました「市民と職員、五つのかけ橋」の中の市政への市民の「参画」を具体的に推進するための施策を盛り込んでいます。これまで2年に1回実施していた「市民意識調査」に加えて、新たに市民モニターを募って市行政についてのご意見、ご提言をいただき、政策立案の参考とさせていただくため、市政モニター事業を実施することとしています。また、市政への住民参加を促すため、市内の各地域で魅力づくりを図る自主的な市民活動を行う団体等を支援するため、地域魅力づくり事業を行います。