「三権分立」めぐる大騒ぎに疑問


 
 
 
 
 
 
 

 <平成13年7月3日産経新聞「アピール」>


 
 衆議院外務委員会での鈴木宗男氏の質問に関連して、田中真紀子外務大臣が、外務委員長に質問を制限するよう要請したことが明らかにされ、三権分立の原則を侵すものであるとして大きな問題になった。さすがの田中大臣も陳謝、官房長官からも注意されるという始末であった。マスコミの報道もおおむね大臣の発言は三権分立の趣旨に反し問題であるというもののようである。本当にそうであろうか。
 まず第一に、委員会で質問する権利は立法権の重要な一部であるが、質問の内容は合理的な範囲に限られるべきであり、個人的な事項につき長時間にわたり質問するがごときは、本来の立法府の権能を超えるというべきであろう。
 第二に、三権分立は、憲法で明確に規定されており、制度上様々なチェックとバランスの仕組みが設けられている。行政と国会の関係であれば、行政は法律と予算に基づき執行されるものであるが、そのいずれも国会の議決が必要とされており、行政府と立法府の権限と役割分担が明確になっている。三権分立を守る制度的仕組みが整っているわけであり、大臣の発言一つで仕組みが簡単に壊れるものでもない。議会運営に問題があると思えば誰でも遠慮なくものをいうべきであり、三権分立を金科玉条のごとく振りかざして大騒ぎするのは、かえって民主主義の原則に反するものではなかろうか。むしろ議院内閣制のもとでは、内閣と議会与党は十分に協議調整して国政運営を円滑に行うことが前提になっており、こうした調整は日常茶飯事と思われる。
 第三に、委員会審議が中断し、重要な議案の審議ができず国政の停滞を招いていること、外交への悪影響などが生じていることなどを考えると、国益を損ずること甚だしい。国民の存在を忘れた国会運営といわざるを得ない。
 大臣いじめ(のようにみえる)に三権分立の装いを凝らした演出に、政府も一役買い、マスコミなども観客席ではやしたてる。中央の大舞台でのドタバタ劇を見るに見かねて、諸兄への非礼やわが身の不勉強を省みず筆を執る。本質を見極めた冷静な議論と行動を望みたい。
 

   

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